株テーマ:遺伝子治療の関連銘柄
遺伝子治療とは、人の身体に特定の遺伝子を入れ、正常な機能を果たしていない遺伝子の働きを抑制したり、補ったりして正常な機能を回復し、病気を治すもの。遺伝子の欠損が原因の遺伝病を治したり、失われた組織を再生させることが可能という。
遺伝子治療は再生医療と並ぶ次世代医療の柱で、2019年現在の世界で製造販売承認を取得している遺伝子治療薬は10種類で、市場規模は約700億円だが、研究開発が活発化し、2025年には4兆円まで拡大すると予測されている。日本では2014年の改正薬事法で、遺伝子治療の規制緩和が行われ、欧米では10年前後かかる開発期間を数年短縮できるようになった。
アンジェスは、HGF遺伝子治療用製品の開発において、米国で軽度から中程度の下肢潰瘍を有する包括的高度慢性下肢虚血(CLTI)を対象とした後期第2相臨床試験で、2024年6月の試験結果の速報値で良好な結果を確認。米国での生物製剤認可申請(BLA)を目指し、準備を進める。
富士フイルムホールディングスは、バイオCDMO事業で中小型製造設備による受託ビジネスを展開。バイオCDMO事業は2024年~2026年を収益基盤構築期、2027年~2030年を収益拡大期と位置づけ。
JCRファーマは、アデノ随伴ウイルスベクターを用いた新しい遺伝子治療技術「JUST-AAV」を創出。脳へと効率的にベクターを送達できるだけでなく、肝臓へのベクター集積を低減することで、副作用の軽減も期待され、新たなプラットフォーム技術として開発を進める。モダリスと共同研究を推進。
協和キリンは、2023年10月に造血幹細胞遺伝子治療の開発・商業化を行う英Orchardを子会社化するための手続きを開始すると発表した。取得価額は573億円。完了は2024年第1四半期を予定する。Orchardが開発した遺伝子治療のアプローチは、患者自身の造血幹細胞の遺伝子を改変し投与することを特徴としており、一度の投与で遺伝性疾患の根本的な原因を治す可能性があるとしている。
タカラバイオと大塚製薬は遺伝子治療薬で共同開発・販売に関する契約を締結。骨膜肉腫と急性リンパ芽白血病で臨床試験を実施している。2021年3月期に承認申請を目指す。タカラバイオは独バイオンテックと、レトロネクチンに関する一連の特許の商業利用許諾とレトロネクチンの供給に関する契約を締結した。レトロネクチンは遺伝子組換えタンパク質で、バイオンテックは開発中の固形がんに対するCAR遺伝子治療薬の製造に使用する。CAR遺伝子治療やTCR遺伝子治療などの遺伝子改変T細胞療法は、標的のがん細胞を選択的に認識・攻撃するもので、世界的に研究開発が進んでいる。
ナノキャリアは、遺伝子治療薬「VB-111」のプラチナ製剤抵抗性卵巣がんを対象とした国内開発を実施する方針を決定。2024年にも実用化する計画。