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    米マイクロソフト、インドとカナダに巨額AI投資 インフラと人材で長期布石
    米Microsoftは12月9日、インドおよびカナダでAIインフラ拡張と人材育成を柱とする大規模投資計画を発表した。生成AIの実用化が世界規模で進む中、成長市場と先進国双方で中長期の競争優位を確保する狙いが鮮明だ。

    インドには2026年から2029年までの4年間で総額175億ドルを投じる計画だ。クラウドおよびAI向けデータセンターの拡張に加え、エンジニア育成や現地事業体制の強化を進める。人口規模が大きく、IT人材の供給力が高いインドをAI時代の中核拠点と位置付ける構えで、同国のスタートアップや政府との連携深化も視野に入る。Microsoftはインド市場を消費地としてだけでなく、AI開発と運用を支える人材供給基地として本格的に取り込む段階に入った。

    一方、カナダには2023年から2027年までの期間で総額190億カナダドルを投資する。そのうち今後2年間で75億カナダドル超を投入し、AIクラウド基盤の拡充やデジタル主権の強化、人材育成を推進する。カナダではデータの国内保管や主権確保への要請が強まっており、同社は政府・公共部門向け需要の取り込みを狙う。研究力の高い大学群やAI研究拠点を活用し、北米におけるAI開発の戦略拠点としての地位を固める。

    今回の投資は、生成AIを軸とするクラウド競争が国・地域単位のインフラ整備と人材育成へと段階を移しつつあることを示す。MicrosoftはOpenAIとの協業を背景にAI基盤で先行するが、持続的成長には電力、データ、人材というボトルネック解消が不可欠だ。インドとカナダへの分散投資は、地政学リスクを抑えながらAI時代の覇権を固める戦略的布石といえる。

株式情報更新 (12月10日)


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