株テーマ:iPS細胞の関連銘柄
iPS細胞は、様々な細胞への分化が可能で、再生医療・創薬への応用が期待されている。
ヘリオスは、遺伝子編集技術により特定機能を強化した他家iPS細胞由来のナチュラルキラー細胞「eNK細胞)を用いた次世代がん免疫に関する研究を進める。眼科領域では住友ファーマと共同でiPSs細胞由来網膜色素上皮(RPE)細胞を用いた治療法開発を進めている。2024年8月には網膜色素上皮裂孔の患者を対象とする第1/2相試験の組み入れが開始された。
ハートシードは、虚血性心疾患に伴う心不全患者を対象とする他家iPS細胞由来心筋球の開胸投与による治療プログラム(HS-001)をリードパイプラインとして開発を推進している。2023年2月にiPS細胞から作った心筋細胞を重症心不全患者に移植して治療する臨床試験で1例目の患者に実施した。10施設で10例を行う予定。
クオリプスは、ヒトiPS細胞由来の再生医療等製品の開発・商業化及びクオリプス独自の設計コンセプトに基づくラボ一体型の商業省細胞培養加工施設「CLiC-1」を利用したCDMO事業を展開。虚血性心疾患による重症心不全を適応症とするヒトiPS細胞由来心筋シートの製造販売承認取得に向け、大阪大学が実施する医師主導治験を継続して支援している。
リプロセルは、iPS細胞作製受託などの研究サービスなどを提供する。また、iPS細胞から神経グリア細胞を作製し、各種神経変性疾患に対するiPS細胞再生医療製品として研究開発を行っている。
ブライトパス・バイオは、がん細胞の殺傷を含め多面的な抗腫瘍効果を持つナチュラル・キラーT細胞をiPS細胞技術を使って大量製造し、がん治療に用いる新規の多家細胞医薬品候補「iPS細胞由来再生NKT細胞療法(BP2201)などの研究開発を推進する。
アイロムグループは、iPS細胞作製キット「CytoTune-iPS」のライセンス事業を推進している。
ケイファーマは、iPS細胞を活用した創薬事業、再生医療事業を展開。iPS創薬ではALSに関する開発パイプラインでアルフレッサファーマと第3相試験に向けて準備を推進。再生医療事業では、亜急性期脊髄損傷に関するパイプラインの研究などを推進している。
富士フイルムは2019年7月、大手製薬企業のバイエルと組み、iPS細胞を用いた次世代免疫治療薬の開発を開始。2020年6月にCiRA発のスタートアップ・リジェネフロに出資。iPS細胞を腎臓病の治療に活かす取組を進めており、2023年の治験入りを目指す。2020年11月、FCDI(フジフイルム・セルラー・ダイナミクス)は、スイスのロンザに対して、細胞治療用iPS細胞株の開発および治験薬製造を対象に、iPS細胞作製技術に関する特許を非独占的に使用できる権利を付与した。
2020年10月には、神戸アイセンター病院が他人由来のiPS細胞から作製した網膜シートを網膜色素変性症患者の網膜下に移植する臨床試験で、1例目の移植手術を実施したと発表した。網膜シートの製造は住友ファーマが行っている。
2019年11月には、京都大学がiPS細胞を使って軟骨を再生する臨床研究計画を厚生労働相に提出した。試験では京都大学が備蓄するiPS細胞から軟骨組織を育てて患部に移植する安全性や効果を確かめる。臨床試験がうまくいけば旭化成が2029年の実用化を目指している。