株テーマ:新型コロナワクチン開発の関連銘柄

新型コロナウイルスの世界的な蔓延が続く中、新型コロナワクチンの開発が進む。現在、日本で認可されているのは海外メーカーによるものだけで、海外からの輸入のみによる供給にはリスクもあり、安全保障の観点から国産ワクチンにも期待が集まる。


第一三共は、nRNAと呼ぶ遺伝子を使ったワクチン「DS-5670」を開発中で2022年度中の国内実用化を目指している。2022年9月1日に国内第3相臨床試験の初回投与を開始したと発表。2022年11月15日には追加免疫試験で主要評価項目を達成し、2023年1月に厚労省に承認申請をする予定。第一三共は、開発中の新型コロナウイルス感染症に対するmRNA(メッセンジャーRNA)ワクチン「DS-5670」について、国内製造販売承認を申請した。


明治ホールディングス傘下のKMバイオロジクスは、国立感染症研究所と共同で新型コロナワクチンの開発を進めている。中間段階の臨床試験データをもとに緊急承認制度を使って2022年9月に申請する予定だったが、2023年4~6月頃の申請を目指す計画に変更したと報じられた。緊急承認はかなりハードルが高いと判断したもよう。

アンジェスは、2022年9月にこれまで開発を進めていた新型コロナ(武漢型)向けDNAワクチン開発を中止し、新型コロナ変異株(オミクロン BA.5等)にも有効な改良型DNAワクチン及びその経鼻投与製剤の研究を開始すると発表した。米スタンフォード大学の技術を活用し研究を進める。

塩野義製薬は、2020年4月に新型コロナワクチンの開発を決定。2020年12月に国内第1/2相臨床試験を開始。2021年8月に新製剤を用いた国内第1/2相臨床試験を開始し、良好な中和抗体価を確認したことから、2021年10月から第2/3相臨床試験に移行した。第2/3相臨床試験では2回接種した際の臨床的有効性を検討する。また、試験と並行して国内外での複数の臨床試験に向けた準備を進めるとしている。2021年12月にはmRNAワクチンを2回接種後、6か月以上経過した成人を対象に追加接種による臨床試験を開始した。

メディネットは、国立がん研究センターと新型コロナ感染予防を目的とした自家樹状細胞ワクチンを開発する。自家樹状細胞ワクチンは、現在世界で開発が進むワクチンである中和抗体を産生させることによるウイルスへの感染防御を目的とするものではなく、体内でウイルスに感染した細胞そのものを殺傷、除去することを期待するもので、長期的な予防効果が見込まれるとしている。対象は重症化しやすい高齢者や基礎疾患がある人、医療従事者などハイリスクの人を想定している。2021年中頃までに第1相治験を開始する予定。

三菱ケミカル傘下の田辺三菱製薬子会社のカナダ・メディカゴは、植物由来の新型コロナワクチンを開発している。メディカゴのVLP(ウイルス様粒子)ワクチンは、遺伝子情報を持たず、安全性が高いとされている。VLPはウイルスと同様の外部構造を持ち、植物を使用した製造技術で短期間に大量生産できるという。カナダ、米国、英国、ブラジル、欧州、南米の約10か国で第2/3相試験が実施されている。2021年10月から国内臨床試験を始め、2022年3月にも承認申請する。

アイロムグループは、2021年6月に経鼻投与による新型コロナワクチン開発を推進すると発表した。経鼻投与することで、全身免疫誘導に加え、ウイルスの主要侵入経路の鼻咽頭で感染を防御し、野生株から変異株と幅広い効果が期待できる粘膜を誘導する。発症予防や重症化予防に加え、新型コロナ感染そのものの予防や感染者のウイルス排出低減など、既存の注射ワクチンにはない有効性を期待できる次世代ワクチンとして開発を進める。2022年1月14日には経鼻接種によるブースターとして臨床試験計画を進めると発表し、ワクチン接種(1回目・2回目)が完了した人を対象に、2022年春に第1相試験、2022年夏頃に3000人を対象にした第2/3相試験を実施し、2023年初頭の製造販売申請を目指す。

オンコセラピー・サイエンスは、2020年10月に新型コロナの感染抑制及び重症化抑制を目指したペプチドワクチンの研究開発に着手。ウイルスの突然変異に対応し、自己免疫応答を誘導しない安全性の高い開発候補品を見い出すことに成功し、特許出願を完了した。

リプロセルは、2020年3月にベルギーのeTheRNAが中心の、新型コロナウイルス用ワクチンの開発を目指す国際的研究コンソーシアムに参加。eTheRNA 社、米EpiVax 社、米Nexelis 社、The Center for theEvaluation of Vaccination of the University of Antwerp (ベルギー)と、リプロセルで組織し、医療従事者や感染者の家族など感染リスクの高い人々をターゲットとし、鼻腔内への投与により、ワクチン効果を狙う。新型コロナウイルスが変異した場合にもワクチン効果が維持されるようにデザインする。

「政府・与党は、国産ワクチンの研究開発・製造拠点整備に5000億円規模の予算を投じる方針を固めた」と、化学工業日報が報じている。令和2年度の補正予算では新型コロナの拡大防止策に2兆5484億円を投じたが、ほとんどは医療体制の維持や緊急包括支援交付金で、ワクチン・治療薬の開発には1606億円規模だった。新型コロナワクチンを輸入に頼らざるを得ない状況で、次のパンデミックに備える狙いとしている。

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