株テーマ:量子コンピュータの関連銘柄

量子コンピュータ関連株。2019年10月、グーグルが「量子超越」を達成した模様と報じられた。スーパーコンピュータで1万年かかる計算を3分で解析したという。9月21日には英FTがグーグルが初の量子コンピュータを開発したという研究者の論文を確認したと報じたが、論文は削除され、確認に至っていない。量子コンピュータが完成するとビットコインは終わるとの見方もあり、コンピュータのパラダイム転換が注目される。世界最高性能を誇る「サミット」を開発したIBMはこの成果に否定的だが、学問的な意味の「量子超越」でなくとも量子コンピュータがスパコンの領域に達したことが注目に値する。


●量子コンピュータの方式

・量子ゲート方式
汎用性が高く量子コンピュータの本命とされ、グーグルやIBMが先行している。

・量子アニーリング方式
量子ゲート方式と同じく超電導技術を使うが、組合せ最適問題に特化し、産業向けと言われる。NECが注目銘柄。

・量子ニュートラルネットワーク方式
常温で作動し、光の特性を計算に利用する。NTTが注目銘柄。


富士通と理研は、2023年10月に理研が2023年3月に公開した国産初号機となる64量子ビット超電導量子コンピューターの開発ノウハウをベースに、新たな64量子ビットの超電導量子コンピューターを開発したと発表した。超電導量子コンピューターと世界最大級の40量子ビットの量子コンピューターシミュレータを連携して利用できるハイブリッド量子コンピューティングプラットフォーム「Fujitsu Hybrid Quantum Computing Platform」を開発し、金融や創薬をはじめとする様々な分野の共同研究を行う企業などに提供する。今後は、1000量子ビット級の超電導量子コンピューターを実現する技術開発を推進する。

フィックスターズは、量子コンピューターで先行していたカナダ「D-wave」などで使用可能な共通ライブラリーを開発している。また、豊田通商グループのネクスティエレクトロニクスと合弁会社を設立し、デンソーと量子コンピューターの大規模実験を行っている。2020年10月には量子コンピューター技術を活用したアプリケーションの開発者向けに量子アニーリングマシン向け開発プラットフォームの提供を開始した。これまで開発者に要求されていたマシンの実行から結果の取得までの複雑なプロセスが大幅に自動化されるとしている。2021年10月には量子コンピューターを使ったアプリ開発やシステム運用を実現するためのクラウドサービス「Fixstars Amplify」を推進するため、子会社を設立。2022年10月には住友商事とFixtars Amplifyのパートナー契約を締結し、物流倉庫での実運用を開始した。

NECとNECフィールディングは、量子コンピューティングを活用した保守部品の配送計画立案システムを構築し、2022年10月から東京23区内での保守部品配送を対象に本格導入。毎日2時間かかる翌日分の保守部品の配送計画立案作業が12分に短縮されるとしている。NECは2019年12月に量子コンピューターの草分けとされるカナダのDウェーブに1000万ドルを出資。オーストラリアのパリエティ・クアンタム。コンピューティング(PQC)と協業。

オキサイドは、2022年5月にLQUOMと資本業務提携し、長距離量子通信機器の実用化に向けた研究開発を行う。

JSRが出資する英ケンブリッジ大学発のベンチャーCQCは、量子コンピューターを使いやすくするソフトなどで、日本に本格参入する。両社は米IBMの量子コンピューターの商用化向け連携組織「IBM Q Network」の一部で、量子科学は量子コンピューティングを初めて実世界で応用したものとされており、新しい材料の開発や発見で成果を上げることが期待される。両社は2019年10月に最先端の量子アルゴリズムの実行に成功したと発表していた。CQCは2020年から国内企業への販売や共同研究を開始する。JSRは、QunaSys(キュナシス)とも2019年3月から材料開発に用いるために必要な量子科学計算アルゴリズムの開発を開始している。

テラスカイは、子会社Quemix(キューミックス)を設立して量子コンピューター市場に参入。米IBMの量子コンピューター「IBM Q」の利用契約を結び、商用化向けの連携組織「IBM Q Network」に参加している。2020年12月8日にはJICベンチャー・グロース・インベストメンツが運営するファンドを引受先とする第三者割当増資で3億円の資金調達を完了している。

ブレインパッドは、フィックスターズやデンソーと量子アニーリングマシンによる情報処理技術の研究が注目される。

ユビキタスAIコーポレーションは、量子コンピューターに対応した暗号で安全性を保つ技術を持つ。

エヌエフ回路設計ブロックは、量子コンピューターの性能の鍵を握る超電導素子の信号処理で超低雑音増幅技術が注目されている。

東芝は量子暗号通信を20年度に実用化すると報じられている。東芝は2015年6月から量子暗号システムの実証実験に取り組んでおり、新しく設立される「量子ICTフォーラム」でもNECとともに中心的な役割を果たす。報道によれば金融機関の取引や顧客情報の送受信で、暗号鍵をやり取りする専用機器やソフトウェアを定額制で提供する方針という。

また東芝は、量子コンピューターの仕組みを疑似的に再現し、計算速度を約10倍に高める。冷却装置などが不要で、量子コンピューターよりも早く実現できるとしている。2021年3月には、既存のコンピューターを使い「疑似量子計算機」と呼ばれる高速計算機の性能を飛躍的に高める技術を開発した。計算に必要なICチップを複数に接続し、1個の場合と比べて計算速度が5倍となった。理論上は無制限に計算速度を高められるという。

東芝、超伝導量子コンピュータの高速化と精度向上に寄与するキーデバイスである、可変結合器の新構造「ダブルトランズモンカプラ」を考案したと発表した。量子コンピューターは、精度や速度から超伝導方式が有力視されており、昨今普及している可変結合器の利用を想定して検証し、計算用の量子ビット同士をつなぐ超伝導量子ビットの結合器「トランズモンカプラ」を従来の一つから二つにした「ダブルトランズモンカプラ」を考案した。



2021年5月13日には、疑似量子計算機で実際の株式売買に活用する実証実験を開始すると発表した。検証での対象は東証の上場株式だが、東証の上場株式のみならず、国内外の市場で取引される証券やコモディティ、それらの派生商品など、多様な金融商品のミスプライシングの発見に適用することで、単独では流動性に乏しい様々な金融商品に新たな流動性を供給する可能性が開けると考えているとしている。

東大は2020年7月、慶應義塾大、東芝、日立製作所、みずほフィナンシャルグループ、三菱UFJフィナンシャル・グループ、JSR、DIC、トヨタ自動車、三菱ケミカル、日本アイ・ビー・エムと、「量子イノベーションイニシアティブ協議会」を設立すると発表した。東京大学と日本IBMは、2021年7月27日、国内で初めてとなる商用量子コンピューターの稼働を始めたと発表した。


KDDIは、日本で初めて量子コンピューティング技術を活用し、基地局の通信品質を改善した。東京都・神奈川県の一部の基地局約1000局の最適化を約60分で計算し、動画などの大容量コンテンツを今まで以上に快適に利用できるようになった。


「新しい資本主義」で成長戦略の柱に位置づける新たな国家戦略の原案で、「国産量子コンピューター」の初号機を今年度2022年中に整備することを盛り込んだ。また2030年までに量子技術利用者を1000万人に増やす目標も掲げている。

英オックスフォード発のクァンタム・サーキッツ(OQC)は、量子コンピューターをネットワーク経由で提供する「量子コンピューティング・アズ・ア・サービス(QCaaS)」の商用展開で、エクイニクスと協業する。エクイニクスは、企業ネットワークとクラウドコンピューティングのための世界最大のデータセンターで、東京都内のデータセンターに設置する。


電子部品および製品の販売を行う専門商社であるシンデン・ハイテックスは、量子コンピュータ向けクラウドサービスやアプリケーション開発のリーディングカンパニーであるblueqat(ブルーキャット)と提携し、高性能GPU搭載サーバの販売及び、量子コンピューティングサービスの提供を皮切りに量子コンピュータ市場へ参入する。

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