株テーマ：下水管の関連銘柄
日本の下水道インフラ更新需要が急拡大 – 主要関連企業の動向
日本では老朽化した下水道インフラの更新需要が急速に高まっている。下水道管の耐用年数は一般的に50年とされており、現在この基準を超えるものは約380キロメートルに達している。さらに、今後20年でこの延長は約12倍に膨らむと見込まれ、自治体や民間企業による更新・補修の取り組みが加速している。老朽化した下水道の維持・更新は、地震や豪雨災害への備えとしても重要視されており、耐震性や耐久性の向上を図る製品・技術の導入が進んでいる。
国土交通省は、2025年9月に埼玉県八潮市の下水道管路の破損事故を受けて要請している下水道管路の全国特別重点調査の優先実施個所(約813km)において、8月時点で約730kmで目視調査などを実施した結果、緊急度1の要対策延長は約72km確認されたと発表した。調査や判定が未了の箇所についての速やかな実施、要対策延長や空洞確認箇所についての対策の速やかな実施を要請しており、技術的、財政的に支援するとしている。
NJSは、上下水道関連業務において、管路施設・処理施設などの劣化調査・診断、改築更新計画・設計などに取り組み。2025年9月には下水道管路のリスク予測技術を公表。下水道管路腐食ポテンシャルマップの作成などから、腐食リスクを見える化。リスク予測結果を基に今後の点検・調査・改築事業の重点化を提案し、点検・調査用ドローンやIoTマンホールセンサーシステムなど保有するDX技術やマネジメントシステムを組み合わせた最適な管理体制を提案する。
日本ヒュームは、下水道事業のトータルソリューション増強を重点施策とする。国内ヒューム管のシェアNo1の維持とそのダントツ化や耐震化、管路メンテナンスを軸とする下水道工事では提供エリアを拡大するなどの取組を進める。
クボタ（6326）
下水道管の大手メーカーで、ダクタイル鉄管や塩化ビニール（塩ビ）管を製造。特に耐震性や施工性に優れた製品を開発しており、老朽化対策や災害時の復旧対応に強みを持つ。公共事業向けの受注も堅調で、下水道更新需要の拡大に伴い業績の押し上げが期待される。
旭有機材（4216）
塩化ビニール（PVC）やポリエチレン製の配管・継手を幅広く製造。下水道のみならず、工場・農場向けの管材供給も手掛ける。軽量かつ耐久性のある製品開発に注力しており、管路の補修や新設需要の高まりから、今後の市場拡大が見込まれる。
前澤工業（6489）
上下水道設備の専業メーカーで、水処理装置の製造や設計、据付までを一貫して行う。特に公共施設向け設備を多数提供しており、自治体のインフラ更新需要の増加が追い風となる。下水処理施設の高度化や省エネ化のニーズにも対応している。
日特建設（1929）
下水道管の補修技術「SPR工法」を展開する。塩化ビニール製のプロファイルを活用した複合管工法により、老朽化した管を掘り起こさずに補修できる点が強み。施工期間の短縮やコスト削減が可能で、全国の自治体からの採用が進んでいる。
今後の市場展望
今後、日本の下水道インフラの更新需要はますます拡大する見通しだ。政府のインフラ更新投資や自治体の予算増加が追い風となるほか、耐震・防災対策の一環として新技術の導入も進むだろう。下水道関連メーカーの技術革新や新工法の普及が、今後の市場成長を左右するポイントとなる。
