株テーマ:二酸化炭素貯留(CCS・CCUS)の関連銘柄
二酸化炭素貯留(CCS)、二酸化炭素回収・利用・貯留(CCUS)関連株。二酸化炭素(CO2)を回収し、地中深くに圧入・貯留する技術(CCS)が注目されている。本格的な油田のない日本での実用化はコスト面で制約があるが、貯留したCO2は排出量と相殺できるため、「温暖化ガス実質ゼロ目標」の達成のためには不可欠な技術となる。潜在的な貯留可能量は日本の年間排出量の約100年分と試算されている。
日本政府は、2050年のカーボンニュートラルに向けて2030年のCCS事業の開始、2050年の年間1.2億トン~2.4億トンのCCSを目指している。
●ENEOSホールディングス
ENEOSグループは、2023年5月公表のカーボンニュートラル基本計画で、2040年までに年2000万トン超規模のCCSの事業化を目指すとしている。
・2024年3月には、三菱商事、マレーシアのペトロナスの関係会社であるPCCSSと、東京湾を排出源とするCO2の日本とマレーシア間のCCSバリューチェーン構築に向けた共同検討に関する覚書を締結。域内で回収するCO2の規模は年300万トン程度を想定。2030年度までの事業開始を目指す。将来的には年600万トン程度を目指す。
・2023年12月には、豪サントスと日豪間のCCSバリューチェーン構築に向けた共同検討に関する覚書を締結。豪サントスは、南オーストラリア州のムーンバ貯留サイトで世界最大規模のCCS事業に取り組んでおり、2024年にはCO2の圧入・貯留を開始する予定。
・2022年5月には、Jパワーと国内CCSの事業化調査に共同で取り組むと発表し、2030年までの事業化を目指す。
石油資源開発、日揮HD、川崎汽船は、2023年11月にマレーシアのペトロナスの子会社であるPCCVSとマレーシアにおけるCCS事業化実現に向けた検討の実施に合意。マレーシア国内や日本などで回収されたCO2を対象。2020年代中盤の事業決定と2028年末の創業開始を目指す。目指すCO2圧入量は、事業開始時点で年200万トン以上、2030年に年500万トン、2030年代前半には年1000万トンへの拡大も視野に入れる。
住友商事、東邦ガス、川崎汽船、豪Woodsideは、2023年9月に、中部圏を排出源とするCO2の日豪間のCCCSバリューチェーン構築に向けた共同検討を開始。
大阪ガスは、2023年6月にシェルと日本国内の鉄鋼・セメント・化学産業の工場などを排出源とするCO2の日本とアジア太平洋地域間のCCSバリューチェーン構築に関する共同検討を開始。
INPEXは、2022年2月に発表した「INPEX Vision @2022」において、CCUSをネットゼロカーボン社会に向けて重点的に取り組む5分野の1つと位置づけ。2030年頃にCO2圧入量年250万トン以上の達成を掲げている。
三菱重工は、高性能なCO2回収技術を用いたCO2回収プラントや大型液化CO2輸送船にかかる技術開発も手掛ける。
日揮や東洋エンジニアリングが地上設備を建設し、石油資源開発などが掘削を担当する。三菱重工は二酸化炭素回収設備の納入実績があり、国際石油開発帝石は豪州での事業化を検討している。国策として進められるプロジェクトだが、2016年4月より苫小牧沖海底下への圧入を開始、2019年11月22日に二酸化炭素圧入30万トンを達成し、停止している。
貯留に適した地層にCO2を直接圧入し、長期間かつ安定的に貯留するため、石油資源開発は、秋田県やインドネシアで実証試験や調査などを行ってきた。J-POWERは、従来に比べ浅い地盤に特殊な状態でCO2を貯留する技術に取り組み、コスト削減を目指している。
J-POWERは、ハイドレートメカニズムを利用した新たな二酸化炭素(CO2)地中貯留技術を考案し、特許を取得した。CCS(CO2の回収・貯留)におけるCO2の地中貯留に関するもので、日本周辺海域における大水深の低温・高圧環境下で形成されるハイドレートメカニズムを利用した、海底下地盤でのCO2の地中貯留技術となっている。
また、海外とも協力し、CO2を液化して海上輸送したり、ガス田の近くに埋めたりする事業の商用化を目指す。
日本はインドネシアのガス田にパイプラインを設け、CO2を地中に埋める実証実験を行う計画で、2024年度の貯留開始を目指す。海上輸送は2024年の運搬開始を目指す。
JERA(東京電力・中部電力)と東京ガス、INPEXは、豪州で世界最大級の二酸化炭素(CO2)の回収・貯留事業に参画する。豪サントスが2025年頃の操業を目指す年1000万トン規模のCCS基地計画に参画。投資額は1000億円規模。
石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は、豪ビクトリア州でCO2を海底の地下に貯留する事業に参画。日本向けの水素を製造する際のCO2を引き受け、年500万トン超を25年間貯留する。2024年からは民間企業に事業を引き継ぐ。2030年までに稼働させる計画。
日本製鉄は、欧州北海でエクイール社が主導するCCSプロジェクトに炭素鋼の油井管や高合金シームレス油井管が採用。CCSプロジェクトは2024年の稼働に向けて着工している。
INPEXは、2020年までに脱炭素分野に最大1兆円投資することを表明した。水素・アンモニア製造や二酸化炭素を回収して地下に貯留するCCSの商業化などに取り組むほか、天然ガスの生産量も拡大する。
また、CO2を回収・貯留し、新たな商品やエネルギーに変えることでカーボンをオフセットする技術であるCCUSも注目されている。
TREホールディングスは、2022年9月に山形大学・日本大学と再生骨材・砕石等のリサイクル製品の製造工程におけるCCUS技術に関する共同研究契約を締結。CCUS技術に基づいた新たなリサイクル製品の事業化を目指す。