株テーマ:アンモニアの関連銘柄
アンモニア関連株。アンモニアは燃焼時に二酸化炭素(CO2)を排出しないクリーンエネルギーとされる。アンモニアと石炭を混ぜて発電に使う技術の実用化も進められており、石炭火力のCO2排出量の削減が期待される。アンモニア水から水素を作る技術開発も進む。
経済産業省は、2021年9月にグリーンイノベーション基金を用いて実施予定の「燃料アンモニアサプライチェーンの構築」プロジェクトの内容をまとめた研究開発・社会実装計画を策定。低温・低圧で効率的にブルーアンモニアを製造する技術や再生可能エネルギーから水素を経由することなくグリーンアンモニアを製造する技術などの確立で、2030年のアンモニア供給コスト10円台後半/N㎥を目指す。また、石炭ボイラにおいてアンモニア混焼率を高める方法やガスタービンでのアンモニア専焼を実現する方法の2つのアプローチからアンモニアの発電利用における高混焼化・専焼化を進め、2050年に燃料アンモニア国内導入量3000万トン/年を目指す。
なお、アンモニアが300万トン確保できれば、石炭火力発電に20%混ぜるだけで100万kW級の原発6基分に相当する。政府は2030年に300万トン、2050年に3000万トンを導入する目標を掲げているが、三菱商事と伊藤忠、三井物産がそれぞれ100万トン規模を生産することを決め、2030年の政府目標量をまかなえる見通し。
千代田化工建設は、NEDOのグリーンイノベーション基金事業として、製造コストの低減を実現する新規アンモニア合成技術の開発を進める。また、JERA、日本触媒と共同でアンモニア分解技術の開発を進める。
丸一鋼管は、水素やアンモニアを運ぶインフラ需要が見込まれるステンレスシームレス鋼管や配管用ステンレス溶接管への設備投資を実施。投資額は260億円で、稼働は2027年以降を予定する。
川崎重工業は、沖縄電力の具志川火力発電所でアンモニア発電の実証実験を始める。2022年度中に調査結果を取りまとめ、2026年3月期に始める予定。
IHIは、2021年6月に米GEガスパワーとアンモニアガスタービン事業の協業検討で覚書を締結した。IHIはガスタービンでアンモニア70%混焼を達成。GEガスパワーは世界トップレベルの天然ガス発電技術を持つ。アンモニア燃料を使った火力発電所の実現に向けて協業する。
また、IHIとJERA(東京電力と中部電力出資の発電会社)はNEDOのアンモニア混焼火力発電研究開発の実証事業に採択されており、JERAの火力発電所で2024年度にアンモニア20%混焼を目指す。事業期間は2021年6月から2025年3月まで。インドでも実証実験に乗り出し早ければ2026年に混焼を始める計画。
三菱重工業の子会社「三菱パワー」は、出力が4万キロワット級のガスタービン発電装置で、燃料を100%アンモニアにしても窒素酸化物を抑えることができるよう装置を改良し、2025年以降の実用化を目指す。
ダイヤモンドエレクトリックHDは、2024年4月に推進しているアンモニア燃焼技術開発で、アンモニアなど燃焼し難い燃料を安定燃焼させることが可能の超高エネルギー点火システムの試作品を完成させた。
ジャパンエンジンコーポレーションなど4社は、2022年9月に研究開発中のアンモニア燃料アンモニア輸送船について一般社団法人日本海事協会から基本設計承認を取得。2026年度の実証運行実現に不可欠となる代替設計承認を見据え、アンモニアを舶用燃料として利用する際のリスク評価を実施し、安全性の担保が可能との見解に至り取得したとしている。
中外炉工業は、2026年度をめどに都市ガスに代わり、アンモニアを燃料とする工業炉を実用化を目指すもよう。大阪大学と本来は燃えにくいアンモニアと空気を混ぜて、効率よく燃焼する技術を開発。国内CO2排出量の6%を占める工業炉の環境負荷を抑える。
宇部興産は、アンモニアを原料とする当社ナイロン・ファイン事業関連製品を生産しており、2020年10月1日には100%子会社の宇部アンモニア工業を吸収合併した。宇部アンモニア工業は、主に液体アンモニアを製造しており、宇部興産はアンモニア事業を強化する。
住友化学は、2021年2月にカーボンニュートラルの実現に向けた推進体制を構築。水素を運ぶアンモニアの抜本的製法転換に向け触媒開発を目指す方針。
木村化工機と澤藤電機は、2019年11月に低濃度アンモニア水から高純度水素を製造し、燃料電池で発電することに成功したと発表した。この実証実験により、諸費電力とCO2排出量が約83%減り、窒化酸化物(NOx)がゼロのアンモニア処理システムの開発と、安価なCO2フリーアンモニア燃料と安価なCO2フリー水素の製造、さらに消費電力とCO2、NOxがゼロのアンモニア処理システムの開発が可能となる見通しが立ったとしている。2020年からの受注を開始する。