株テーマ:デジタル教科書の関連銘柄

●政府はデジタル教科書を正式な教科書にすると閣議決定 2020年度からの本格活用を目指す

●2021年4月からは、授業でデジタル教科書を利用する制限時間を撤廃し、利用を促す。20年3月時点の小中学校導入率は7.9%に留まっている。

●文科省は、アフターコロナの学校教育を「対面と遠隔の併用」と位置づけ、デジタル教科書は小学校高学年と中学生に先行導入を目指す。小学生は1教科分、中学生は2教科分の全額を賄うため、令和3年度予算の概算要求に50億円を計上した。授業時間の2分の1未満としているデジタル教科書の時間利用制限についても、緩和の方向で見直す。


政府は、現行法で授業で紙の教科書使用を定めている学校教育法を改正し、タブレット端末で利用できるデジタル教科書を正式な教科書とすることで閣議決定した。音声や動画で学習効果が高まるため、2020年度からの本格的な活用を、2024年度の本格導入を目指す。義務教育の教科書は無償化で、国が450億円を負担しているが、デジタル教科書は対象となっていない。普及のためには法改正が必要だ。2025年度に普及率100%を目指す。

また、2024年度から小中高で順次改定される次の教科書は、動画や音声コンテンツを盛り込むなどデジタル対応を強化する見通し。

教育とITを組み合わせた「エドテック」の中で、GIGAスクール構想が2023年度末から20年度内に前倒しされ、児童生徒1人につき1台の学習用端末を配備するための予算が2292億円計上されている。このため全国で1000万台の端末特需が発生するが、デジタル教材の普及も目覚ましいものがある。

萩生田文科相、平井デジタル改革担当相、河野行革担当相は、GIGAスクール構想による1人1台端末の整備を踏まえ、教科書は原則としてデジタル教科書に移行し、無償化の対象とする考えで一致した。文科省は、令和3年度予算の概算要求に関連経費50億円を盛り込んでいる。


関連銘柄はオンライン教材を学習塾や小学校に提供するすららネットや学校教育向けICT事業のチエルなどが代表的。ACCESSは東京書籍の実証研究に教科書リーダーを提供している。内田洋行教育総合研究所は教育機関への教材やコンテンツの製造やICTシステムの構築を行う。無線LAN構築に100億円を予算措置するため、ワイヤレスゲートも注目されそうだ。

すららネットのデジタル教材「すらら」は小学校から高校までの主要5教科をアニメやゲームの要素を取り入れ、勉強嫌いな児童生徒にも使いやすいと評判になっている。経済産業省の「エドテック導入補助金」制度では、全国672校がすららのデジタル教材を導入した。私立校や学習塾から公立校の採用が相次ぎ、2020年9月末の導入校は2000校を超えたと見られる。

改正学校教育法により、デジタル教科書が教科書として使用できるようになったのに伴い、全国教科書供給協会と全国教科用図書卸協同組合は2019年12月3日、デジタル教科書・教材に対応した学習用ICTプラットホーム「Lentrance(レントランス)」を提供するLentranceと協業し、デジタル教科書の供給体制を構築すると発表した。Lentranceは、ACCESSの一部門からスピンアウトした企業。富士ソフトもデジタル教科書・教材向けのプラットフォーム提供を開始している。

NECは、GIGAスクール構想推進に向けて教育ICT事業を強化し、2021年度から2025年度の累計売上高1000億円を目指している。デジタル教科書関連では、日教販との協業で主要各社の学習用デジタル教科書への対応を実施。新たに10社以上と連携し、ドリル教材や電子辞書アプリ、学習用支援ツールなどのデジタル教材も拡充する方針。

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