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2026/3/20 08:49
(7267) 本田技研工業 格付け引き下げが追い打ち、上場来初赤字の現実と株価1300円攻防——EV戦略の損切りは底固めになるか
3月19日のホンダ(7267)は前日比43円安の1302円で引け、3月12日のEV戦略撤退・業績下方修正ショック以来の安値圏で売りが続いた。この日の下落の直接の引き金となったのは、S&Pグローバル・レーティングによる格付け引き下げだ。S&Pはホンダの長期発行体格付けをシングルAマイナスからトリプルBプラスへ一段階下げ、今後1〜2年は業績が大きく下振れし、回復に時間を要すると指摘した。上場来初の最終赤字という衝撃が市場に残る中で、格付け機関の烙印が重なった形である。
発端は3月12日の緊急発表にある。ホンダは北米で生産を予定していた「Honda 0 SUV」「Honda 0 Saloon」「Acura RSX」という主力EV3車種の開発・発売を中止すると発表し、これに伴う設備除却損や減損、サプライヤーへの補償などを一括計上することを明らかにした。今期の営業損益は従来の5500億円の黒字から、2700億〜5700億円の赤字へと反転。連結最終損益も4200億〜6900億円の赤字となる見通しで、1977年の連結決算開示以来初めての最終赤字転落となる。来期以降の追加損失を含めると、EV関連の損失は今期分と合わせて最大2兆5000億円に達する試算も示された。三部敏宏社長は「断腸の思い」と表現し、2040年の脱ガソリン目標を「現実的に困難」として事実上の撤回を宣言した。
チャートが示す下落の深さは、この巨大な材料の重さと正比例している。日足では2月9日の高値1722円を起点に鋭い下降が続いており、3月19日の安値は1294円と、昨秋の上昇局面全体をほぼ消し去った。5日移動平均線は1340円、25日移動平均線は1488円、200日移動平均線は1548円と、いずれも現在の株価を大きく上回り、三本の移動平均線が完全に頭上に並ぶ状態だ。価格帯別出来高でみると1500〜1600円帯に最も厚い商いが積み上がっており、そこを割り込んだことで戻り売り圧力は重い。
一目均衡表では、日足の基準線が1483円、転換線が1395円、先行スパンが1609円付近と雲は分厚い。株価は転換線すら下回り、遅行スパンも過去の株価水準を大きく下回る位置にある。週足では基準線・転換線がともに1508円で横並び、先行スパン2(下限)は1443円だが、週足でもこの雲の下限を割り込みつつあり、底値圏に落ちていることは否定できない。一方で週足では2025年4月の安値1156円から反発してきた大局の下値支持帯が意識される局面でもある。今の1300円前後は、その長い周期から見れば過去の底値圏に近い水準に戻ってきたことを示している。
業績の構造を整理すると、今期(26年3月期)は売上高が21兆1000億円と前期比ほぼ横ばいながら、EV損失の一括計上で営業損益・最終損益ともに赤字という特殊期となる。配当予想は70円で据え置かれており、現在の株価水準での配当利回りは5.3%超に達している。最重要の焦点は27年3月期以降の回復力だ。日経予想では27年3月期の営業利益を1兆円と見込んでいる。これが実現すれば、損失の一括計上はむしろ「腿を切って体を残した」再出発になる。ハイブリッド車(HV)は北米でも依然として根強い需要があり、ホンダがHV強化に舵を切った方向性は理に適っている。
株価レンジのメインシナリオとして、今期末から来期初にかけての最終確定決算と、5月に予定される四輪中長期戦略の発表が最初の分岐点となる。日足では1295〜1300円が当面の攻防ラインであり、ここを保てれば転換線1395円、次いで25日移動平均線1488円へとリバウンドの余地がある。メインシナリオとして、27年3月期の回復期待が具体化する過程で1450〜1550円の戻りを想定する。来期EV損失の上積みが一定の範囲に収まり、HV拡販計画の進捗が確認されれば、週足の雲下限1443円奪回から先行スパン1である1534円への回復も視野に入る強気シナリオが描ける。逆に来期の追加損失が当初試算を上回り、5月の戦略説明会が市場に失望を与えるようなら、1200円台への試練もあり得る。
格付け引き下げという重い追加悪材料が出た日に、1295円の安値から1302円で踏みとどまった値動きは、売り一巡を示唆しなくもない。
発端は3月12日の緊急発表にある。ホンダは北米で生産を予定していた「Honda 0 SUV」「Honda 0 Saloon」「Acura RSX」という主力EV3車種の開発・発売を中止すると発表し、これに伴う設備除却損や減損、サプライヤーへの補償などを一括計上することを明らかにした。今期の営業損益は従来の5500億円の黒字から、2700億〜5700億円の赤字へと反転。連結最終損益も4200億〜6900億円の赤字となる見通しで、1977年の連結決算開示以来初めての最終赤字転落となる。来期以降の追加損失を含めると、EV関連の損失は今期分と合わせて最大2兆5000億円に達する試算も示された。三部敏宏社長は「断腸の思い」と表現し、2040年の脱ガソリン目標を「現実的に困難」として事実上の撤回を宣言した。
チャートが示す下落の深さは、この巨大な材料の重さと正比例している。日足では2月9日の高値1722円を起点に鋭い下降が続いており、3月19日の安値は1294円と、昨秋の上昇局面全体をほぼ消し去った。5日移動平均線は1340円、25日移動平均線は1488円、200日移動平均線は1548円と、いずれも現在の株価を大きく上回り、三本の移動平均線が完全に頭上に並ぶ状態だ。価格帯別出来高でみると1500〜1600円帯に最も厚い商いが積み上がっており、そこを割り込んだことで戻り売り圧力は重い。
一目均衡表では、日足の基準線が1483円、転換線が1395円、先行スパンが1609円付近と雲は分厚い。株価は転換線すら下回り、遅行スパンも過去の株価水準を大きく下回る位置にある。週足では基準線・転換線がともに1508円で横並び、先行スパン2(下限)は1443円だが、週足でもこの雲の下限を割り込みつつあり、底値圏に落ちていることは否定できない。一方で週足では2025年4月の安値1156円から反発してきた大局の下値支持帯が意識される局面でもある。今の1300円前後は、その長い周期から見れば過去の底値圏に近い水準に戻ってきたことを示している。
業績の構造を整理すると、今期(26年3月期)は売上高が21兆1000億円と前期比ほぼ横ばいながら、EV損失の一括計上で営業損益・最終損益ともに赤字という特殊期となる。配当予想は70円で据え置かれており、現在の株価水準での配当利回りは5.3%超に達している。最重要の焦点は27年3月期以降の回復力だ。日経予想では27年3月期の営業利益を1兆円と見込んでいる。これが実現すれば、損失の一括計上はむしろ「腿を切って体を残した」再出発になる。ハイブリッド車(HV)は北米でも依然として根強い需要があり、ホンダがHV強化に舵を切った方向性は理に適っている。
株価レンジのメインシナリオとして、今期末から来期初にかけての最終確定決算と、5月に予定される四輪中長期戦略の発表が最初の分岐点となる。日足では1295〜1300円が当面の攻防ラインであり、ここを保てれば転換線1395円、次いで25日移動平均線1488円へとリバウンドの余地がある。メインシナリオとして、27年3月期の回復期待が具体化する過程で1450〜1550円の戻りを想定する。来期EV損失の上積みが一定の範囲に収まり、HV拡販計画の進捗が確認されれば、週足の雲下限1443円奪回から先行スパン1である1534円への回復も視野に入る強気シナリオが描ける。逆に来期の追加損失が当初試算を上回り、5月の戦略説明会が市場に失望を与えるようなら、1200円台への試練もあり得る。
格付け引き下げという重い追加悪材料が出た日に、1295円の安値から1302円で踏みとどまった値動きは、売り一巡を示唆しなくもない。

