注目銘柄

    注目銘柄 2025/10/31 06:57
    (6807) 日本航空電子工業 京セラ、日本航空電子に33%出資で筆頭株主に
    (6807)日本航空電子工業は、(6971)京セラと資本業務提携契約を締結したと発表した。京セラは日本電気(NEC)が保有する日本航空電子株式の一部、約2223万株(発行済株式の33.0%)を取得し、筆頭株主となる。譲渡実行日は2025年10月31日で、NECは主要株主から外れる。両社はコネクタ事業を中心に技術・生産・販売で連携し、グローバル市場での競争力強化を目指す。

    日本航空電子は、自動車、携帯機器、産業機械・インフラ、航空・宇宙の4分野を重点市場としており、特にADAS(先進運転支援システム)や自動運転関連の電装化需要を取り込む戦略を進めている。しかし、スマートフォン市場の停滞や中国需要の鈍化が業績を圧迫していた。京セラとの提携により、同社の欧州生産拠点や販売網を活用し、コネクタ製品の開発・製造体制を強化する方針だ。欧州チェコの京セラ子会社(KYOCERA AVX Components s.r.o.)で製造委託を開始し、サプライチェーン効率化と新製品共同開発を進める。

    京セラにとってもコネクタ事業は成長余地が大きい分野であり、電子部品事業の中核強化を狙う。フレキシブル基板コネクタや基板対基板コネクタで一定の技術を有するが、規模の拡大が課題だった。今回の提携により、両社は欧州自動車市場やデータセンター分野など、成長市場でのシェア拡大を目指す。京セラは議決権比率33%を維持し、取締役1名を派遣するが、日本航空電子の自主経営を尊重する方針を明示した。

    同日、日本航空電子は2026年3月期の業績予想を下方修正した。売上高を2400億円から2250億円、営業利益を185億円から100億円、純利益を130億円から60億円に引き下げた。スマートフォン需要の低迷や開発費増加、中国での価格競争激化が響いた。だが、京セラとの提携により中期経営計画で掲げる「売上高3000億円・経常利益300億円」の早期達成を目指す姿勢を示した。

    今回の資本提携で、日本航空電子はグローバル生産・販売体制を補完し、京セラは電子部品事業の再構築を加速する。両社のシナジーが実現すれば、世界のコネクタ市場で存在感を一段と高める可能性がある。

    京セラによる出資で経営基盤は強化されるが、当面は業績下方修正の影響が残る。提携効果の実現には時間を要する見通しで、株価反応は短期的には限定的とみられる。

株式情報更新 (11月1日)


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