米金融大手ＪＰモルガン・チェースは、レアアース（希土類）や人工知能（AI）など米国にとって戦略的に重要な産業分野に対し、今後10年間で総額1兆5000億ドル（約230兆円）を投融資すると発表した。半導体、量子コンピューター、造船など安全保障と産業競争力の中核を担う企業に対し、融資や株式投資など多様な資金供給を行う方針だ。

発表によると、このうち最大100億ドル（約1.5兆円）は株式購入などの投資に充て、残る資金は長期融資やプロジェクトファイナンスとして活用する。米国ではAIや次世代半導体、エネルギー転換技術の分野で巨額の開発資金需要が高まっており、民間金融機関が国家戦略産業を後押しする流れが強まっている。ＪＰモルガンはすでにAIデータセンターやグリーンエネルギー関連への融資を拡大しており、今回の計画でさらに成長分野への関与を強める。

今回の巨額投融資は、米国政府の産業支援政策と歩調を合わせる形で、AI・半導体など次世代技術分野に民間資金を誘導する狙いがある。市場では「ＪＰモルガンが金融面から国家戦略を支えるモデルとなる」との見方が広がっており、金融セクター全体にも波及効果が及ぶ可能性がある。