米メタ・プラットフォームズが米グーグルと、6年間で100億ドル（約1兆4800億円）超に及ぶクラウドコンピューティング契約を結んだ。取引規模としては、グーグルのクラウド部門17年の歴史で最大級とされる。

今回の契約は、メタが進めるAI基盤強化とデータ処理能力の拡張を背景としている。メタは自社データセンター運営を行う一方で、外部クラウドを組み合わせる「ハイブリッド戦略」を採用してきた。その中でグーグルとの提携拡大は、生成AIの学習処理やメタバース関連の開発需要を支えるとみられる。

クラウド市場では、アマゾン・ウェブ・サービス（AWS）とマイクロソフトのAzureが二大勢力を形成してきた。今回の案件は、グーグルクラウドにとって競合との差を縮める機会となる。メタにとっても複数クラウドの利用を通じて価格交渉力や技術選択肢を確保できる点が大きい。

生成AIやメタバースの実用化が加速する中、巨大IT企業によるクラウド投資は今後さらに拡大する可能性が高い。今回の提携が業界の勢力図に与える影響は少なくないだろう。

日本株への関連波及としては、データセンター投資やクラウド基盤を支える半導体、光通信、電力インフラが注目される。（6501）日立製作所や（6702）富士通はAIクラウド提供での需要増が期待されるほか、（5803）フジクラや（5802）住友電工といった光ファイバー関連は世界的なデータトラフィック拡大の恩恵を受けやすい。