生成AI（人工知能）ブームに沸くデータセンター市場で、電線御三家の光ファイバーケーブル事業が急拡大している。

（5803）フジクラは、2025年3月期の情報通信事業部門で営業利益922億円を記録し、前期比2.4倍の大幅増益を達成した。同部門は全社営業利益の68%を占める主力事業に成長し、AIデータセンター向け光ファイバーケーブルの特需が業績をけん引した。26年3月期もケーブル売上高は前期比約3割成長を見込み、佐倉事業所では新工場建設を検討している。

（5802）住友電気工業も、生成AI市場拡大を背景にデータセンター向け光デバイスや光配線機器の需要増加で、情報通信関連事業の売上高が2232億円と前期比8.3%増収となった。営業利益は199億円と314億円の大幅改善を記録している。

特に注目すべきは（5801）古河電気工業の積極戦略だ。同社は光ファイバーケーブル関連部材の製造能力を26年3月期に24年3月期比5倍に高める計画を発表した。MTフェルールやローラブルリボンケーブル、DFBレーザチップなど主要製品の生産能力を大幅増強し、2030年度のデータセンター分野売上高を23年度比3倍に引き上げる野心的な目標を掲げている。

世界のデータセンターケーブル市場は2024年の71億ドルから年率8.9%で成長し、2034年には大幅拡大が予想される。電線御三家はこの成長市場で競争優位を確立すべく、生産能力増強と技術革新を加速させている。