（9503）関西電力は福井県美浜町に次世代型原子力発電所を新設する方針を固め、地質調査に着手した。既存の美浜原発の立地を活用し、国が掲げるカーボンニュートラル目標や安定的な電力供給の確保に応える狙いだ。次世代原発は安全性を従来より高めた革新炉を想定しており、国内で新設が進むケースは極めて限られている。

調査は新設候補地の地盤構造や断層の有無などを確認する初期段階で、数年単位で行われる計画だ。調査結果を踏まえ、原子力規制委員会による審査や地元合意形成に向けた協議が本格化する見通しである。関西電力は地域住民や自治体への丁寧な説明を重視し、安全性や透明性の確保を前面に押し出す考えだ。

原子力を巡っては、再生可能エネルギーの導入拡大と並行して、ベースロード電源としての役割が再評価されている。特に電力需要が高まる関西圏にとって、美浜での次世代原発新設は供給安定化策の一環となる。さらに、地元経済への波及効果も期待され、建設需要や雇用創出の側面も注目される。

関西電力にとって、美浜の次世代原発計画はエネルギー転換期における試金石となりそうだ。