（6752）パナソニックホールディングスは、チェコにある暖房機生産工場の増強に450億円を投じる。最大生産能力を現在の4.7倍となる年間70万台に引き上げる計画だ。対象となるのは「A2W（エア・トゥー・ウォーター）」と呼ばれるヒートポンプ暖房で、空気中の熱を利用して効率的に室内の暖房や給湯を行う装置だ。欧州では脱炭素を背景に需要拡大が続き、電気代高騰を受けた家庭の導入も進んでいる。

同社は電気自動車（EV）向け車載電池を成長の柱に掲げる一方、需要動向が読みにくい電池事業に依存しすぎない戦略を取る。ヒートポンプ暖房は市場回復のスピードが早いと判断し、逆風下でも先行投資を決断した。欧州では規制強化と補助金政策が普及を後押ししており、中長期的な需要拡大が見込まれる。

パナソニックは住宅向けエネルギー機器事業を強化し、持続的な収益基盤の構築を進める。今回の増産投資により、車載電池と並ぶ次の重点事業として位置づける方針を鮮明にした格好だ。