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2025/10/30 11:58
(6723) ルネサスエレクトロニクス 「Renesas 365」で設計プラットフォーム化へ Altium買収シナジー進展
(6723)ルネサスエレクトロニクスは30日、2025年12月期第3四半期(7〜9月)決算を発表した。売上収益は3354億円(前年同期比2.9%減)で、自動車向けが14%減の1592億円と弱含んだが、産業・インフラ・IoT分野が9.8%増の1737億円と好調で全体を下支えした。製品ミックスの改善と生産稼働率の回復が寄与し、営業利益率は30.9%と想定を上回った。売上総利益率も57.6%に改善し、在庫圧縮と利益率の両立を進めた。
今期の焦点だった米Wolfspeedへの出資転換では、第2四半期に約2350億円の評価損を計上していたが、9月末の再建計画発効と時価評価見直しにより、第3四半期に445億円の評価益を戻し入れた。これにより親会社株主に帰属する四半期利益は1063億円の黒字に転換。通期累計では依然約690億円の赤字だが、財務面の不透明感は後退した。出資構成は株式、転換社債、新株予約権を組み合わせたもので、今後は米当局(CFIUS)の承認を待つ間、持分法から切り離す方針を示している。
通期(2025年12月期)の会社計画は、為替前提を1ドル=149円、1ユーロ=167円とし、売上収益1兆3007億〜1兆3151億円、営業利益率28.5%、売上総利益率57.0%を見込む。第4四半期の売上高は3400億円(±75億円)を想定し、自動車向けは横ばい、産業・インフラ・IoT向けがセルスルー増加で在庫減を進める見通しだ。急回復は織り込まず、安定成長を優先する姿勢がうかがえる。
また、買収したAltiumとの統合も順調で、2025年第1四半期にはコストシナジーを概ね取り込み済み。SaaS型収益の拡大でグループARR(年間経常収益)は前年比15%増を維持した。年内には新たな設計プラットフォーム「Renesas 365」を正式展開し、2026年の投資家説明会(Capital Market Day)でKPIを開示する計画だ。ハード中心の半導体企業から、設計・調達を含む“プラットフォーム企業”への転換を掲げている。
総じて今決算は、「車載の谷を産機IoTで埋め、在庫を締め、買収資産の整理を進めた」内容だった。配当や自社株買いの新規発表はなく、買収資金の回収と財務基盤の健全化を優先している。営業利益率が30%台を回復し、Wolfspeed処理も峠を越えたことで、2026年以降の再成長に向けた準備局面に入ったといえる。
ルネサスの第3四半期は産業・インフラ・IoT分野の伸びで利益率が改善し、Non-GAAP営業利益率が30%を超えた点は好感される。一方、主力の自動車半導体は前年同期比14%減と底を探る状況で、回復確認までは慎重姿勢が続く。Altium買収による設計プラットフォーム戦略「Renesas 365」は中期成長の鍵となるテーマであり、プラットフォーム化が軌道に乗れば中長期の株価上昇余地もある。
今期の焦点だった米Wolfspeedへの出資転換では、第2四半期に約2350億円の評価損を計上していたが、9月末の再建計画発効と時価評価見直しにより、第3四半期に445億円の評価益を戻し入れた。これにより親会社株主に帰属する四半期利益は1063億円の黒字に転換。通期累計では依然約690億円の赤字だが、財務面の不透明感は後退した。出資構成は株式、転換社債、新株予約権を組み合わせたもので、今後は米当局(CFIUS)の承認を待つ間、持分法から切り離す方針を示している。
通期(2025年12月期)の会社計画は、為替前提を1ドル=149円、1ユーロ=167円とし、売上収益1兆3007億〜1兆3151億円、営業利益率28.5%、売上総利益率57.0%を見込む。第4四半期の売上高は3400億円(±75億円)を想定し、自動車向けは横ばい、産業・インフラ・IoT向けがセルスルー増加で在庫減を進める見通しだ。急回復は織り込まず、安定成長を優先する姿勢がうかがえる。
また、買収したAltiumとの統合も順調で、2025年第1四半期にはコストシナジーを概ね取り込み済み。SaaS型収益の拡大でグループARR(年間経常収益)は前年比15%増を維持した。年内には新たな設計プラットフォーム「Renesas 365」を正式展開し、2026年の投資家説明会(Capital Market Day)でKPIを開示する計画だ。ハード中心の半導体企業から、設計・調達を含む“プラットフォーム企業”への転換を掲げている。
総じて今決算は、「車載の谷を産機IoTで埋め、在庫を締め、買収資産の整理を進めた」内容だった。配当や自社株買いの新規発表はなく、買収資金の回収と財務基盤の健全化を優先している。営業利益率が30%台を回復し、Wolfspeed処理も峠を越えたことで、2026年以降の再成長に向けた準備局面に入ったといえる。
ルネサスの第3四半期は産業・インフラ・IoT分野の伸びで利益率が改善し、Non-GAAP営業利益率が30%を超えた点は好感される。一方、主力の自動車半導体は前年同期比14%減と底を探る状況で、回復確認までは慎重姿勢が続く。Altium買収による設計プラットフォーム戦略「Renesas 365」は中期成長の鍵となるテーマであり、プラットフォーム化が軌道に乗れば中長期の株価上昇余地もある。

