（GOOG）アルファベットは29日、2025年7〜9月期（第3四半期）決算を発表した。売上高は前年同期比16%増の1023億4600万ドル（約15兆6500億円）、純利益は33%増の349億7900万ドルとなり、いずれも市場予想を上回った。1株利益（EPS）は2.87ドルで、AIを活用した広告最適化やクラウド需要の拡大が寄与し、10四半期連続の増収増益を達成した。四半期ベースで売上高が初めて1000億ドルを超えたことも市場の注目を集めた。

主力のネット広告事業は前年同期比13%増の741億8200万ドル。特に動画配信サービス「YouTube（ユーチューブ）」の広告収入が15%増の102億6100万ドルと伸び、短編動画「ショート」やAI分析による広告効果の最適化が奏功した。検索広告も堅調で、消費関連分野を中心に需要が回復した。

クラウド部門の売上高は34%増の151億5700万ドル。生成AIサービス「Gemini」や大規模言語モデルを活用した業務支援ソリューションが企業需要を取り込み、営業利益は85%増の35億9400万ドルと収益性が大幅に改善した。クラウド事業がグループ全体の成長をけん引する構図が鮮明になっている。

AIインフラ投資やデータセンター拡張によるコスト増を吸収しながらも、収益体質は一段と強化された。決算発表を受け、株価は時間外取引で一時7%高と大幅に上昇した。市場では「AI関連銘柄の中でも安定した収益基盤を持つ好決算」との評価が広がっている。

クラウドと広告の両輪が好調で、AI事業の収益化も進む。生成AI「Gemini」やデータセンター拡張を通じた中長期成長力は高く、安定したキャッシュフローを背景に今後も株主還元余地が大きい。短期的な調整局面はあっても、中期的には押し目買いが有効とみられる。