中国アリババ集団が独自のAI半導体開発を進めているとの報道を受け、AI関連株が一斉に売られた。米国市場ではマーベル・テクノロジーやエヌビディアなど主要半導体株が急落し、日本市場でも東京エレクトロンやSCREENホールディングスなど製造装置関連株が軟調となった。市場では「アリババショック」と呼ばれるが、ディープシークの発表でAI関連株が売られた「ディープシークショック」と同じ構図だとの見方が多い。

いずれの局面も、新規のAI技術や半導体開発が市場をかく乱したが、最終的に関連銘柄は反発した。背景には、AI向け半導体需要がデータセンターの拡張を支える長期的成長ドライバーとして揺るがないことがある。短期的な需給調整や競合出現への警戒感で株価は変動するものの、AI関連設備投資の規模は拡大を続けており、主要企業の業績成長シナリオは崩れていない。

市場では、アリババの動きが既存の半導体大手の地位を脅かすには時間がかかるとの見方が大勢だ。むしろ、一時的な株価調整が中長期の投資機会になる可能性がある。AI半導体関連銘柄はボラティリティが高い反面、需給改善や投資家心理の落ち着き次第で反発力も強いことが過去の例から確認されている。

今回の「アリババショック」も、AI関連銘柄の長期成長を疑う材料ではなく、短期的なノイズに過ぎないとの判断が適切だ。市場は再び、AI半導体需要の強さに注目を戻す可能性が高い。