（6859）エスペックは、電気自動車（EV）向け試験機の需要鈍化を見据え、新たな収益基盤の構築に向け、生成AI（人工知能）や通信衛星分野への事業展開を加速させている。京都府内の工場では設備に約40億円を投じ、環境試験機の増産体制を刷新する。

環境試験機は、過酷な気象条件下での機器作動を検証するもので、同社の装置事業の稼ぎ頭を担ってきた。世界市場で高いシェアを保持しており、品質と制御精度が強みとされている。今回の設備刷新により、商品価値向上およびモノづくりの高効率化を推進し、販売総利益率の改善を狙う。

2026年3月期の連結業績予想として、売上高68,000百万円（前期比1.1％増）、営業利益8,500百万円（同12.9％増）、経常利益8,650百万円（同11.0％増）、親会社株主に帰属する当期純利益6,190百万円（同3.1％増）を計画している。同社は環境試験機の拡販や、AI・宇宙等の先端領域への市場開拓で新分野収益の拡大を目指しており、京都府の主力工場刷新による生産能力強化が前向きな業績につながっている。

第1四半期は売上高123億2,300万円（前年同期比10.0％減）、純利益1億700万円（同85.8％減）と減益スタートとなったが、通期予想は据え置き、3期連続で過去最高益となる計画を維持している。一方、年間配当予想も前期比20円増の115円とした。