注目銘柄

    注目銘柄 2025/10/25 08:04
    (4519) 中外製薬 最高益維持も市場予想下回る 
    腎疾患領域を強化、レナリスファーマ買収へ

    (4519)中外製薬が24日発表した2025年1~9月期連結決算(IFRS)は、純利益が前年同期比3%増の3056億円だった。関節リウマチ治療薬「アクテムラ」の輸出や抗がん剤「フェスゴ」の国内販売が好調で、1~9月期としては2年連続で過去最高益を更新した。一方で、市場予想(QUICKコンセンサス、3301億円)には届かなかった。売上収益は9116億円(同5%増)、営業利益は4298億円(同2.7%増)。主要製品「ヘムライブラ」や「バビースモ」も堅調で、製商品売上高は7,946億円と5.9%増加した。

    2025年12月期の通期業績予想は売上収益1兆1900億円(前期比1.7%増)、営業利益5700億円(同2.5%増)、純利益4100億円(同3.2%増)と据え置いた。創業100周年を記念し、年間配当を普通配100円、記念配150円の計250円とする。

    また同日、国内バイオベンチャーのレナリスファーマを11月末に完全子会社化すると発表した。指定難病の腎疾患「IgA腎症」を対象とする治療薬「スパルセンタン」の日本・韓国・台湾での独占的開発・販売権を取得する。買収対価は一時金150億円に加え、開発進捗に応じ最大160億円のマイルストンを支払う。スパルセンタンは米欧で承認済みの新薬であり、中外製薬は自社開発中の核酸医薬「セファキサーセン」とあわせ、腎疾患領域の治療体系を強化する狙いだ。

    財務基盤は堅固で、9月末時点の自己資本比率は86.6%、ネット現金は8824億円。フリーキャッシュフローは1812億円の黒字と高水準を維持している。業績は安定成長を続けつつ、研究開発と戦略的投資を両立させる構えを見せた。

    2年連続の最高益維持は評価できるが、市場予想未達と新薬開発費用の増加が重荷。短期的には株価上昇余地は限定的だが、腎疾患領域強化による中長期の成長ポテンシャルは高い。

株式情報更新 (10月25日)


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