（7202）いすゞ自動車と（7203）トヨタ自動車は29日、共同開発した燃料電池（FC）路線バスの量産を2026年度に始める。両社は商用車の電動化における協業を進めており、今回の取り組みは水素社会実現に向けた本格展開の一環となる。

新型バスはトヨタが乗用車で培った燃料電池技術を応用し、二酸化炭素を排出しないゼロエミッション車として都市部や観光地での導入を想定する。いすゞはバス車体や運行ノウハウを活かし、トヨタと共同で開発を進めてきた。量産開始により自治体やバス事業者への普及が加速するとみられる。

水素インフラはまだ整備途上だが、政府は2030年に水素の年間供給量を現在の6倍に拡大する方針を掲げている。今回の量産計画はその政策目標とも連動しており、国からの補助金やインフラ整備支援の対象となる可能性が高い。

世界では脱炭素化の流れを背景に、水素燃料電池を活用した大型商用車の開発が進んでいる。欧州や中国も同分野に注力しており、日本メーカーの競争力強化が課題となっている。いすゞとトヨタは、既存の電動バスに比べて航続距離や燃料補給時間で優位性を訴求し、国内外市場での受注拡大を狙う構えだ。