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    アーム、創業35年で初の自社チップ「AGI CPU」発表 メタが筆頭顧客、時間外で株価6%急伸
    半導体設計大手アームホールディングス(NASDAQ:ARM)は24日、サンフランシスコで開催したイベント「Arm Everywhere」において、創業以来35年の歴史で初めてとなる自社設計・販売の半導体チップ「AGI CPU」を発表した。同社はこれまで半導体の設計図(IP)をライセンス供与するビジネスモデルに特化してきたが、AI向けデータセンター需要の急拡大を受け、自ら物理的なシリコンを販売する方向へ大きく舵を切った。

    筆頭顧客にはメタ(旧フェイスブック)が就き、共同開発パートナーとして複数世代にわたるロードマップを構築する。このほかオープンAI、セレブラス、クラウドフレア、F5、SAP、SKテレコムなども初期顧客として名を連ねており、AIインフラ分野の主要プレーヤーを幅広く取り込んだ格好だ。

    AGI CPUはArm Neoverse V3コアを最大136基搭載し、TDP(熱設計電力)は300ワット。動作周波数は最大3.7GHz、コアあたり2MBのL2キャッシュを備え、PCIe Gen 6を96レーン、CXL 3.0にも対応する。製造はTSMCの3ナノメートルプロセスで行う。同社によれば、x86ベースのラック構成と比較してワットあたり性能は2倍に達し、AIデータセンター1ギガワットあたり最大100億ドルの設備投資削減効果が見込めるとしている。

    商用システムはASRockRack、レノボ、スーパーマイクロからすでに受注を開始しており、2026年後半にかけて本格的な出荷が進む見通しだ。

    株価は通常取引で134.96ドルと前日比1.41%安で引けたものの、発表を受けた時間外取引では143.10ドルまで急伸し、終値比で約6%の上昇となった。市場では、ライセンスモデルからの脱却によって収益構造が大きく変わる可能性に注目が集まっている。2025年3月期の売上高は約40億ドルと前年比約24%成長を遂げたが、自社チップの販売が軌道に乗れば、ロイヤルティ収入を大幅に上回る直接的な半導体売上を獲得できる可能性がある。

    一方で、リスクも無視できない。アップルアマゾンなど、アームの設計を利用して独自チップを開発してきた顧客との関係が微妙になる懸念がある。また、エヌビディアのVera CPUをはじめ、インテル、AMDとの直接競合にさらされることになり、これまで享受してきた「プラットフォーム中立」の立場が揺らぐ可能性もある。

    市場では、HSBCが3月19日付でアーム株を2段階格上げし「買い」としたほか、シティもロイヤルティ単価の上昇余地を評価するなど、強気の見方が広がりつつある。今後の焦点は、メタ向け出荷の進捗と次期顧客の拡大ペース、そしてエヌビディアインテルとの競争環境がどう変化するかだ。

株式情報更新 (3月29日)


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