富士キメラ総研の調査によると、データセンター向けIT機器の世界市場は、2025年度に約70兆円から、2031年度には188兆円へと約2.7倍に拡大する見通しだ。背景には、生成AIの普及によるAIサーバー需要の急増がある。Amazon、Apple、Googleなどのクラウド大手が大規模なAIデータセンター投資を進めており、市場全体の拡張を牽引している。

AIサーバーでは、AIアクセラレーターチップや高帯域メモリー（HBM）を搭載したDRAMの需要が急伸しており、半導体産業の成長ドライバーとして注目されている。AIの学習・推論処理に必要な演算性能が急激に高まっているため、高性能GPUやAI専用チップの導入が世界各地で進む。

一方で、同社は中長期的なリスクとして、生成AIビジネスの収益性の低さや、学習用データ源の枯渇を指摘。2027年以降は学習用AIサーバーへのハイペースな投資が一服し、市場成長率は緩やかになると予想している。

また、データセンター内での通信機器・ケーブル分野も拡大傾向にあり、世界市場は2025年度の約3兆3845億円から、2031年度には約7兆8668億円に達すると見込まれる。AI時代を支えるインフラ整備は、引き続き半導体、光通信、冷却技術など多分野に波及する可能性が高い。