米半導体大手インテルが資金調達を加速させている。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは25日、インテルが半導体受託製造最大手の台湾積体電路製造（TSMC）に出資や提携を打診したと報じた。TSMCは世界の半導体生産で主導的地位を占め、インテルの製造力強化に向けた戦略的パートナーシップが模索されている。

一方、24日には米ブルームバーグが、インテルが米アップルに対し出資を要請したと伝えた。アップルはインテルの主要顧客であり、両社の協業深化が期待される。さらに、米政府がインテル株の10％を取得する計画を発表。半導体産業の国内強化を目指すバイデン政権の方針を反映し、インテルの事業基盤安定を後押しする。

また、米エヌビディアがインテルに50億ドルを出資し、株式約4％を取得すると明らかにした。8月にはソフトバンクグループが20億ドル出資を表明。エヌビディアやソフトバンクの出資は、インテルの先端技術開発や生産能力拡大を支援する狙いがある。

インテルは半導体市場での競争激化や高コストの製造プロセスに対応するため、外部資金の取り込みを急ぐ。TSMCとの提携やアップルとの関係強化は、技術力と供給網の強化を図る戦略の一環だ。米政府の関与は、地政学的リスクや国内産業保護の観点から重要視される。一連の動きは、インテルが次世代半導体やAI関連技術で主導権を握るための布石となる。市場は今後、インテルと各社の交渉進展や具体的な提携内容に注目する。