（5101）横浜ゴムは、鉱山・建設用車両向けの大型タイヤ事業を強化する一環として、ルーマニアにおける新たな固定資産の取得を発表した。取得した用地と建物は、今後のタイヤ生産拠点として活用される予定で、同社のオフハイウェイタイヤ（OHT）事業拡大戦略の中核を担う。

今回取得したのは、かつて欧州で産業機器を製造していた施設で、既存インフラを有効活用することで、早期の稼働と投資効率の最適化を図る。将来的には、大型ラジアルタイヤの生産ラインを導入し、鉱山や採石場、建設現場など過酷な環境下での使用に適した高性能製品の供給を強化する。取得価額は3,500万米ドル、土地面積は約20万平方メートルに及ぶ。

横浜ゴムは2021年にインドのオフハイウェイタイヤ大手アライアンスタイヤグループ（ATG）を買収し、農業・産業機械用タイヤ分野でのグローバル展開を加速させてきた。今回のルーマニア拠点の取得は、欧州市場における供給能力を高めると同時に、世界的な需要拡大に対応する布石となる。

OHT事業は、横浜ゴムの中期経営計画において注力分野とされており、今回の投資はその戦略を具体化する重要な一歩となる。地政学的リスクの分散や、欧州地域における地産地消の実現も見据えている。