注目銘柄

    注目銘柄 2025/11/5 15:02
    (5401) 日本製鉄 米USスチール買収で一時損失 通期は最終赤字に転落見通し
    (5401)日本製鉄は5日、2026年3月期第2四半期(2025年4~9月)の連結決算を発表した。売上収益は前年同期比5.8%増の4兆6,356億円だったが、事業利益は同39%減の2,275億円、最終損益は1,133億円の赤字(前年同期は2,433億円の黒字)に転落した。米United States Steel(USスチール)の買収に伴う事業再編損や取得関連費用が利益を圧迫した。

    米国市場の不透明感や為替変動も影響したが、基幹の製鉄事業は概ね堅調。USスチールの統合後、グループの粗鋼生産能力は8,200万トンに拡大し、同社が掲げる「グローバル粗鋼1億トン体制」に一歩近づいた。2025年6月に完了した合併では、取得対価2兆620億円にのれん3960億円を計上。インド、東南アジアに加え米国を第三の柱と位置づけ、電磁鋼板や自動車鋼板など高級鋼の供給体制を強化する。

    通期見通しは、売上収益を前期比15%増の10兆円と据え置く一方、事業利益を従来予想から300億円引き下げて4,500億円(同34%減)、最終損益は600億円の赤字に修正した。米国子会社の業績見直しに加え、ブラジル・ウジミナス社の持分譲渡による事業再編損を織り込んだ。

    配当は年120円(株式分割後換算)を予定し、10月1日付で実施した1株→5株の分割により、投資家層の拡大を図る。資産合計は前年期末比28%増の14兆円に達し、総合力世界首位の鉄鋼メーカーとして海外展開を加速させる構えだ。

    短期的には統合費用や再編損で業績は悪化したが、USスチール買収による北米展開強化は長期的な収益基盤拡大につながる。粗鋼能力の拡大と高付加価値鋼の成長余地を踏まえ、中長期視点では再評価余地が残る一方、26年3月期の赤字転落を受け、当面は株価の上値は限定的とみる。

株式情報更新 (11月5日)


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