明電舎は、主力の変電機器事業で欧州市場への展開を本格化する。2027年度までに真空遮断器（VCB）の重要部品や遮断器などの製品ラインアップを拡充し、送配電インフラの更新需要を取り込む方針だ。欧州では脱炭素化に伴う再生可能エネルギーの導入拡大が進み、送配電設備の高効率化と保守性向上が求められている。明電舎は現地パートナーとの連携や認証取得を通じて販売体制を整備し、成長市場での事業基盤強化を目指す。

同社の2025年3月期連結業績は、売上高3011億円（前期比4.6％増）、営業利益215億円（同69％増）と大幅増益だった。半導体製造装置や社会インフラ向け機器の受注が好調で、利益率も改善した。2026年3月期は売上高3350億円、営業利益200億円とやや減益を予想するが、堅調な需要を背景に高水準の収益を維持する見通しだ。

財務基盤も強化が進み、配当は前期の123円から今期135円へ増配を計画する。営業キャッシュフローの安定化を背景に、成長投資と株主還元の両立を図る構えだ。欧州での変電機器拡販は、同社の中長期的な収益拡大に向けた重要な布石となる。