（7203）トヨタ自動車は自己資本利益率（ROE）の目標を従来のほぼ2倍となる20％に引き上げ、事業モデルの革新と株主還元強化を進める姿勢を明確にした。2024年3月期のROEは15.8％に達しており、今後はソフトウエア重視のビジネスへの転換により、さらなる収益性の向上を目指す構えだ。日米関税交渉の決着も追い風となり、トヨタはROE目標達成に本腰を入れるとみられる。

理論株価はROE20％達成時の利益水準に着目し、現状の純資産とPBR水準から推計可能だ。2024年3月期末の純資産は約27兆円、ROE20％実現時の純利益は約5.4兆円となる。足元の株主資本コストや株式市場の評価を考慮し、PBRが約1.5倍に維持される場合、理論株価は約4500円前後となる。

今後ROE向上と株主還元策強化が着実に進めば、市場による評価も一段と高まる可能性がある。トヨタが中長期で目標を達成した際、グローバル競争力・収益性の両面において株価上昇余地は十分に残されている。日米間の自動車関税交渉が決着したことで、政策リスクは後退した。トヨタはグローバル市場での競争力を背景に、ソフトウエアと電動化を軸とした事業モデル改革を推進する構えだ。