注目銘柄

    注目銘柄 2025/10/4 08:57
    (9984) ソフトバンクグループ OpenAI評価73兆円報道、過去出資の妙味と今後の課題
    (9984)ソフトバンクグループは、米OpenAIの企業価値が約5,000億ドル(約73兆4,000億円)に達したと報じられたことを受け、再び注目を集めている。既存投資家が従業員保有株を約66億ドルで買い取る形で取引が成立し、OpenAIの市場評価が一段と高まった格好だ。ソフトバンクは米Oracleと連携してAIデータセンター「Stargate」構想を推進しており、この評価引き上げは投資戦略の正当性を裏付ける材料とみられる。

    ソフトバンクは過去にもOpenAIに対し大規模な出資を行ってきた。2025年3月には、最大400億ドルの追加出資枠を確保する契約を締結。その直前の資金調達ラウンドでは、OpenAIの評価額は3,000億ドル規模とされ、ソフトバンクはその大半を担う投資家として関与した。初期段階ではセカンダリー市場を通じて数億ドル規模の株式取得も実施しており、段階的に出資を拡大してきた経緯がある。今回の評価額上昇は、過去の投資判断が資産価値の押し上げにつながった可能性を示すものだ。

    一方で、国内における共同事業の立ち上げは遅れているとの観測もあり、グローバルでの積極投資と国内展開のギャップが課題とされる。投資規模の拡大はソフトバンクの財務余力を試す局面でもある。

    直近の2025年3月期連結決算は、売上高約7兆2,000億円、最終損益は1兆1,500億円の黒字を計上した。営業利益の詳細は開示されていないが、投資収益の改善が寄与した。今期通期予想については会社発表で「非開示」とされており、AI投資の収益化は依然として見通しに不透明感が残る。ただし市場では、OpenAI関連事業を含むAI分野が成長ドライバーとなり得るとの期待が強い。

    株主還元については、自社株買いや配当の継続に加え、資産売却を通じた資金確保で投資と還元の両立を目指す姿勢を維持している。今後は、OpenAI投資の成果をどのように利益へと結び付けるかが最大の焦点となる。評価上昇という追い風を享受しつつ、過去の投資で露呈したリスク管理の課題をどう克服するかが、投資家から問われている。

株式情報更新 (10月4日)


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