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    日本のパワー半導体業界、再編の足音
    日本のパワー半導体業界が転換点を迎えている。ルネサスエレクトロニクスは、先進のSiC(炭化ケイ素)パワー半導体の量産を事実上断念。パワー半導体分野での競争力強化に向け、合従連衡が現実味を帯びてきた。

    背景には、電気自動車(EV)市場の成長鈍化と中国メーカーの急速な台頭がある。中国勢は政府支援を受けて生産量を拡大し、価格競争力でも優位に立ちつつある。日本メーカーは高付加価値品で欧州勢、汎用品で中国勢に市場を奪われるリスクが高まっている。

    国内ではパワー半導体メーカーの乱立が指摘されており、経済産業省は補助金交付に事業規模の条件を設け、連携を後押ししてきた。その結果、(6502)東芝と(6963)ローム、(6902)デンソーと(6504)富士電機の2陣営がそれぞれ生産面での協業に踏み出した。だが、依然として各社の開発・販売体制は分かれており、より深い再編・統合が求められている。

    従来のディスプレーと異なり、パワー半導体はEV(電気自動車)や再エネなど、完成車メーカーが需要の中心を担う点が特徴だ。日本はトヨタ自動車をはじめとする完成車企業が集積しており、国内供給網の強化は国際競争力に直結する。

    海外では、欧米中ともに巨大企業による垂直統合が進む中、日本勢の分断は一層のリスクとなりかねない。経産省の主導で、設計から製造、パッケージングまで一体で動ける枠組みづくりが急がれる。パワー半導体の国際競争は本格化しており、日本企業が生き残るには、一段の再編と集中が避けられない情勢だ。

株式情報更新 (7月7日)


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