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    【米国株式市況】ホルムズ海峡封鎖継続懸念でダウ739ドル安、原油96ドル台と金利上昇が市場を直撃
    最大の市場変動要因は、イランの新たな最高指導者モジタバ・ハメネイ師がホルムズ海峡の封鎖継続を表明したと伝わり、中東からのエネルギー供給回復が遠のいたことだ。周辺海域では船舶攻撃も相次ぎ、軍事衝突の長期化懸念が一段と強まった。これを受けてWTI原油先物は一時97ドル台前半まで急騰し、終値ベースでも96.44ドルと高水準を維持した。原油高はインフレ再燃観測を通じて米長期金利を押し上げ、米10年債利回りは4.263%へ上昇。原油高と金利高の同時進行が、株式市場全体に強い売り圧力をかけた。

    NYダウ平均 46,677.85(-739.42)
    ナスダック 22,311.98(-404.16)

    米国時間3月12日の米株式市場は全面安の色合いが強かった。ダウ平均は700ドル超の大幅安となり、ナスダックも400ドル超下落した。朝方から売りが先行し、引けにかけても戻りは鈍かった。市場では単なる地政学リスクではなく、原油高が長引けばインフレ圧力の再燃と個人消費の減退を同時に招くとの懸念が強まっている。今回はその不安を、指数が素直に織り込んだ一日だった。

    相場の構造は明確だ。
    ホルムズ海峡封鎖継続懸念

    中東からの原油供給不安

    WTI原油急騰

    インフレ再燃観測

    米10年債利回り上昇

    景気敏感株、高PER株、金融株に逆風

    ダウ平均が大きく崩れたのは、この連鎖が景気敏感株と金融株を直撃したためだ。ナスダックも同様に売られたが、ダウ以上に半導体と大型テックへの利益確定売りが重なり、下げ幅が拡大した。

    セクター別では、エネルギー株だけが相対的な逃避先となった。シェブロンは2.70%高と、ダウ構成銘柄の中でも際立つ逆行高となった。原油高メリットを最も直接的に享受する銘柄として資金が集まり、指数の下げ幅を一定程度抑えた。ホルムズ海峡リスクが残る限り、エネルギー株は相場の数少ない支えになりやすい。

    一方、半導体株は総崩れだった。フィラデルフィア半導体指数は3.43%安と大幅下落し、AI関連を含む主力銘柄に売りが広がった。タイワン・セミコンダクター・マニュファクチャリングは5.03%安、インテルは5.68%安、アームは4.14%安、アプライド・マテリアルズは3.93%安、ラムリサーチは4.28%安と、装置・製造・設計の主要銘柄が一斉安となった。AMDも3.46%安、エヌビディアも1.54%安で、AI半導体への資金も防御的になった。前日まで底堅かった半導体が崩れたことで、ナスダックの下落が一気に加速した。

    クラウド・ソフトウエア株も強弱が割れたが、全体としては弱い。オラクルは前日に急騰していた反動もあり2.44%安、マイクロソフトは0.73%安、アマゾンは1.46%安と軟調だった。セールスフォースだけは2.65%高と逆行高を演じたものの、相場全体の悪化を覆すには至らなかった。クラウド関連でも、個別材料がある銘柄以外は売られる地合いだった。

    マグニフィセントセブンも総じて下落した。アップルは1.93%安、アマゾンは1.46%安、アルファベットは1.66%安、メタは2.54%安、テスラは3.14%安、エヌビディアは1.54%安、マイクロソフトは0.73%安となった。特にテスラ、メタ、アップルの下げが目立ち、高PER銘柄が金利上昇と地政学リスクの両面から売られた構図が鮮明だった。

    消費関連株も弱かった。ウォルマートは1.48%高と例外的に底堅かったものの、ナイキは2.81%安、ホーム・デポは2.74%安、マクドナルドは0.39%安と、消費や住宅関連には逆風が強かった。原油高が続けば家計負担の増加を通じて消費が鈍るとの見方が、株価の重荷になった。

    金融株も崩れた。JPモルガンは1.61%安、ゴールドマン・サックスは4.39%安、ブラックロックは2.97%安となった。特にゴールドマン・サックスは下落率が大きいうえ株価水準も高く、価格加重平均であるダウ平均へのマイナス寄与が非常に大きかった。投資家の解約請求増加を背景に、プライベートクレジット関連ファンドの一部で引き出し制限が明らかになったことも、金融セクターへの不信感を強めた。

    この日は市場を大きく動かす米経済指標の発表が主役ではなく、完全に中東情勢とエネルギー価格が相場を支配した。つまり、マクロ指標ではなく地政学そのものが市場のセンチメントを決めた一日だった。

    ダウ構成銘柄で指数へのマイナス寄与が最も大きかったのはゴールドマン・サックスだったとみられる。4.39%安という大幅下落に加え、絶対株価が高いため、ダウ平均を強く押し下げた。加えて、ボーイングは4.36%安、3Mは3.91%安、ユナイテッドヘルスは2.87%安、ホーム・デポは2.74%安、ナイキは2.81%安と、2%超下落のダウ銘柄が続出した。景気敏感、工業、ヘルスケア、消費まで幅広く売られており、相場の弱さが際立った。一方、プラス寄与で目立ったのはシェブロンで、2.70%高と2%を超える上昇を記録し、原油高メリットを最も素直に織り込んだ。

    総じて3月12日の米市場は、ホルムズ海峡封鎖継続への警戒が原油高と金利高を通じて市場全体を直撃し、ダウ・ナスダックともに大幅安となった一日だった。前日まで見られた一部ソフトウエア株の踏ん張りも、この日は相場全体を支えるには力不足だった。今後の焦点は、ホルムズ海峡を巡る緊張がさらに拡大するか、WTI原油が100ドルを試すか、そして金利上昇が高PER株だけでなく市場全体のバリュエーションをどこまで圧迫するかに移っている。現状は、エネルギー株を除けば守り切れるセクターが乏しい局面だ。

株式情報更新 (3月12日)


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