経済産業省は、人工知能（AI）を搭載した産業用ロボットの普及を後押しするため、安全性や技術要件に基づく新たな認証制度の創設を検討する。AIが判断して動作するロボットは自律性が高く、人と同じ空間で協働する場面も増えている。従来の安全基準だけでは対応しきれない課題が浮上しており、経産省は制度整備を通じて実用化を加速させる狙いだ。

制度設計では、AIの判断プロセスの透明性やデータ処理の安全性、緊急停止機能の信頼性などを評価項目に盛り込み、国際規格との整合性も図る。自動車や電機など国際競争力が高い業界と連携し、認証取得を前提にしたサプライチェーン全体の開発環境を整備する方針だ。

また、経産省はスタートアップ育成にも力を入れる。AI制御や画像認識を活用した多用途ロボットの開発支援を強化し、製造・物流・医療など幅広い分野で導入を進める。こうした取り組みを盛り込んだ「AIロボティクス戦略」と工程表を今年度中に策定し、日本発のロボティクス産業の再興を目指す。

市場では、AI技術の進展と人手不足を背景に、次世代ロボット市場の拡大が期待される。経産省の認証制度が整えば、国際的な信頼性を高め、国内メーカーの輸出競争力を押し上げる効果も見込まれる。