注目銘柄

    注目銘柄 2025/10/27 15:39
    (7751) キヤノン 年末商戦へ「最高売上」視野も通期を小幅下方修正、イメージング伸長、インダストリアル好調継続
    (7751)キヤノンの2025年12月期3Qは、売上高1兆1,043億円(前年同期比+2.3%)で3Qとして過去最高となった。一方、営業利益880億円(-10.3%)、当社株主に帰属する四半期純利益637億円(-7.4%)と、米追加関税やプロダクトミックス悪化が重石となった。粗利率は46.4%と前年同期比で1.4ポイント低下した。累計9カ月では売上高3兆3,029億円(+2.1%)、営業利益3,024億円(+1.9%)、純利益2,196億円(+0.5%)で、各段階利益は小幅ながら増益を確保した。

    セグメント別では、イメージングがミラーレスやコンパクトデジカメの好調で売上+5.9%となったが、関税コスト増で税引前利益は-12.4%。インダストリアルは半導体・FPD露光装置の需要を取り込み売上+21.7%、利益は横ばいだった。プリンティングは米投資抑制や欧州・中国の需要軟化で売上-1.1%、利益-12.2%。メディカルは構造改革効果で利益+34.8%と改善が進んだ。

    通期見通しは売上高4兆6,160億円(+2.4%)を据え置きつつ、営業利益を4,510億円へ下方修正(前回比-90億円)。税引前利益4,660億円、純利益3,255億円に微調整した。第4四半期の為替前提は1ドル=150円、1ユーロ=175円。米関税や商談後ろ倒しを織り込む一方、年末商戦での高付加価値製品の伸長で増収増益を維持する構えだ。

    株主還元は年160円(中間80円実施、期末80円計画)を掲げ、配当性向50%を目安とする。年初来で自己株式を3度取得し、自己株は4億5500万株まで増加。積極的な総還元姿勢を維持する。財務面では短期借入の増加で負債が膨らみ、自己資本比率は52.6%(前期末58.6%)にやや低下した。

    通期の小幅下方修正と関税・ミックス逆風で短期の利益モメンタムは鈍化している。一方、イメージングおよびインダストリアル分野の成長継続、年末商戦の追い風、年160円配当と自己株取得による下支えは評価できる。関税動向や設備投資サイクルの不透明感を踏まえると、現状は押し目待ちのスタンスが妥当だ。

株式情報更新 (10月28日)


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