宇宙開発ベンチャーの（9348）ispaceと（5108）ブリヂストンは、中小型月面探査車（ローバー）向けのタイヤ実用化に向けた基本合意書を締結したと発表した。ispaceが開発を進めるローバーの性能向上を目的に、両社は共同で技術検証を進める方針だ。

ispaceのローバーは、自走機能に加えて高解像度の画像・動画の撮影や水資源の探査といった多機能性を備え、月面での実用性を重視した設計となっている。ブリヂストンが開発した柔軟で変形可能な弾性車輪をプロトタイプに装着し、地上環境での走行性や耐久性などを評価する。

この取り組みを通じて、2029年ごろの技術実証および事業化の可能性を検証する計画で、持続的な月面活動に向けた技術基盤の構築を目指す。ispaceは今後、月面輸送サービス「HAKUTO-R」シリーズを軸に、月面経済の商業化に向けた実用技術の開発を加速する構えだ。両社の提携は、宇宙探査ビジネスの実現可能性を高める新たなステップとなる。