（6762）TDKは、スマートフォン向けカメラモジュール用アクチュエーターを含むマイクロアクチュエーター事業を、投資持株会社のQT Investmentに譲渡する方針を明らかにした。譲渡完了は2026年3月を予定している。

今回の決定は、同社の中期経営計画に基づく事業ポートフォリオ再編の一環であり、経営資源を成長分野に集中させる狙いがある。スマホ用アクチュエーター事業は、TDKの高度なシミュレーションと製造技術により多くの端末で採用されてきたが、市場競争の激化により、持続的成長が困難と判断された。

譲渡先のQT Investmentは、インテリジェント・ビジョン・システムなどの分野で成長を目指す企業であり、TDKが築いてきた技術基盤を活かして事業の更なる展開を図る方針だ。

2025年3月期の「その他」セグメントにおいて、スマートフォン向けカメラモジュール用マイクロアクチュエーター事業の売上高は555億円（前期比7.2％増）となった。会社側は本事業譲渡による2026年3月期連結業績への影響は軽微と説明している。TDKは今後、フェライト素材を中核としたエネルギー・データ分野への投資を強化し、企業価値の向上とキャッシュフローの最適化を目指す。