（6326）クボタは、米アグリテックスタートアップのAgtonomy（アグトノミー）と協業を加速すると発表した。2024年から共同で進めてきた果樹やナッツなどスペシャリティクロップ向けの農薬散布自動化実証を踏まえ、今後はサービス販売やメンテナンスを含めた事業化を本格検討する。

アグトノミーは自動化技術とデータ活用に強みを持ち、無人走行トラクターに農薬噴霧機を装着し、AI・データ分析を通じて必要な量のみを自動で散布する仕組みを提供する。これにより農薬使用量と労働力の双方を削減し、省人化とコスト削減、さらには環境負荷低減を同時に実現する狙いだ。

協業の主戦場は米カリフォルニア、オレゴン、ワシントンの3州。これらは米国有数の農業地帯である一方、資材価格高騰や人手不足、労働コスト上昇が深刻化している。クボタは自動化システムとデータプラットフォームの確立を進め、北米ディーラー網とも連携しながら、スマートソリューションの販売・サポート体制整備を急ぐ方針だ。

アグリテックによる農薬散布の最適化は、生産性向上や新規参入のハードル低減、持続可能な農業経営の実現に寄与する。今後、世界的な食料需要増加と環境規制強化を背景に、こうした取り組みの重要性は一段と高まる見通しだ。